国や自治体への働きかけ政策提言法制度の動き

許可・登録を要しない運送についての取扱いの変化


2021/12/2

・登録申請時の利害関係者との調整、煩雑な手続きや書類作成、過度に求められる管理体制等により、必要性があっても自家用有償旅客運送が行われていない地域が数多くあります。自家用有償旅客運送では満たすことのできないニーズもあります。福祉有償運送では対象にならない比較的元気な高齢者や、交通空白地有償運送の対象にならない地域の住民のニーズに応えることは難しく、結果として、許可・登録が不要の形態で移動支援を立ち上げる例も増えています。

・特に、「買い物弱者」や「サロン等の居場所への参加が難しい人」、「閉じこもりがちな高齢者」への支援は、ご近所同士の身近な支えあい・助け合いの延長で行われています。小さなエリアで小規模に、より安価に実施されるこうした活動は、むしろ自家用有償旅客運送には不向きです。地域包括ケアシステムの構築をめざす流れの中で、住民主体による多様な生活支援サービスを増やしていくことは喫緊の課題であり、中でも、住民互助による移動支援は、重要な役割を担っています。

・国土交通省では、こうした状況を踏まえ、通達「道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について」を改正・発出したり、「高齢者の移動手段を確保するための制度・事業モデルパンフレット」を発行したりしています。特に、「制度・事業モデルパンフレット」は、国が、具体的に許可・登録を要しない形で実施できる活動モデルを初めて示したことで、活動を立ち上げようとする多くの市町村や団体等の助けになっています。
2018年(平成30年)以降の通達見直しでは、次のような解釈の変更または明確化が図られました。
 1.車両の維持購入費や保険料は市町村が運送主体に対して補助をしても有償運送とみなさない
 2.自治体がボランティアポイントを運転者に付与しても直ちに運送の対価とはみなさない
 3.ガソリン代のほかに任意の謝礼を受け取っても有償運送とみなさない
 4.家事・身辺援助サービスが中心となる場合は、有償ボランティア活動であっても運送に対する固有の対価を受け取らない限り、有償運送とはみなさない
 5.市町村が委託実施する送迎は、利用者負担がゼロであれば、委託先の車両を使用していても許可・登録は不要
いずれも細かな運用改善ではありますが、全国移動ネットが立ち上げ支援や相談事業を通じて提言を続けていた事柄であり、地域住民が地域課題の解決に取り組みやすい環境ができつつあると捉えています。
すべての提言が認められた訳ではありませんが、自家用有償運送が法制度化された2006年から15年が過ぎ、社会状況も大きく変化してきています。移動サービスは超高齢社会において必要不可欠な市民サービスとして認められるようになりしまた。今後も時代に即した制度となるよう、全国移動ネットとして国への提言活動を強化していきます。