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総会記念シンポ「これからの外出支援、移動サービスを考える-地域包括ケア・自治体への権限移譲に伴う                地域コミュニティのあり方-」報告

▼日時:2015年6月20日(土) 14時30分-16時45分
▼会場:横浜みなと博物館訓練センター 第1・2教室
▼講師陣
  パネリスト:
   川部勝一氏/厚生労働省老健局振興課長補佐
   菅原 晃氏/国土交通省自動車局旅客課地域交通室長
   中根 裕氏/全国移動サービスネットワーク理事長
  コーディネーター:
   島津 淳氏/桜美林大学健康福祉学群社会福祉コース教授
▼主催:NPO法人 全国移動サービスネットワーク
▼共催:NPO法人 かながわ福祉移動サービスネットワーク

 国土交通省と厚生労働省の担当官がパネリストとして登壇され、117名の参加者とともに、新しい総合事業における訪問型サービスDのあり方や自治体への権限移譲について話し合いました。
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 菅原室長からは、権限移譲の進捗の他、自家用有償旅客運送の実施主体を法人格のない団体にも広げたことや福祉有償運送の利用者の範囲を、結構幅広く設定しているというご説明があり、川部課長補佐からは、訪問型サービスDの考え方が示されました。具体的な作り方として、通所型Bと訪問型Dの組み合わせ、あるいは訪問型Bの中に包含された移動支援という方法が示された点は、団体や自治体の参加者にとってもヒントになったようです。

 また、3人の方から事例紹介もいただきました。かめかめ福祉移送の横山さんからは、福祉有償運送団体が、交通空白エリアの住民を対象に無償運送(ルート送迎)を実施して見えてきたことをご報告いただき、ハンディキャブゆづり葉の杉本さんからは、多摩市のさわやか福祉財団主催のセミナーをきっかけに「生活支援・介護予防サービスの協議体」設置を働きかけて実現し、移動の問題を検討していこうとしている最新動向を紹介していただきました(資料参照)。横浜市の地域包括支援センターの稲田さんからは「バス停から遠い地区は、要支援1(軽度の時)から介護保険サービスの利用人数が多い」「引きこもってしまうと、ADLの低下を招き、早期に介護保険のサービスを使うことになる、要介護状態にも移行しがち。」「要支援1・2の人の行き先と移動環境が充実すれば、介護予防につながり ADLを維持できる」といったご発言がありました。
 漠然としていた移動支援の必要性や、訪問型サービスDの作り方が「見える化」されたことは、大きな収穫でした。

 一方、会場からは「重度者は福祉有償運送の対象のため運送の対価を払って利用し、福祉有償運送の対象外の軽度者だと無償運送でガソリン代のみ、という整理になるのは、おかしいのでは?」「視覚障がい者で同行援護を利用している方が65歳になったら、介護優先の原則があるので、訪問型サービスDに移行することを求められるのか?心配」「運輸支局から、ガソリン代実費の考え方について大変細かい説明を受けるが、そのとおりにしたら訪問型サービスDの仕組みの構築はできない」「外出支援の必要性が共通理解できているなら、それを解決するための自家用有償旅客運送の制度見直しは、不十分だったのではないか?」といった沢山の質問が寄せられました。
 講師陣からは明確な回答がなかったものもありますが、両省庁の担当官同士が顔を合わせたのは恐らく初めてで、多くの参加者から歴史的な場に立ち会えたという感慨の声が聞かれました